コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2016/09/27

星になったフレディ・マーキュリー

▼「死して星になる」などと言えば、いかにもロマンあふれる深遠な話に思える。それが流星のようにこの世を駆け抜けていったスターとなれば、なおさら感慨も深い
▼国際天文学連合が、英国のロックバンド「クイーン」のボーカリスト、故フレディ・マーキュリーさん(1946~91年)を記念して、小惑星17473を「フレディマーキュリー」と名付けたことを発表した。この小惑星が発見されたのが彼の亡くなった91年であり、今回の命名も、ちょうど生誕70年を迎えた彼の誕生日9月5日というタイミング。何とも粋な計らいではないか
▼命名を働きかけたのはクイーンのギタリスト、ブライアン・メイだという。それもそのはず、メイはギターの腕前のみならず、天体物理学の博士号を持ち、クイーンの結成当時からその異色の経歴はよく知られていた。メイは命名の発表にあたって「みなさんが彼を忘れずにいてくれることに感謝します。彼も心から喜んでくれたに違いありません」とのメッセージを発表。また国際天文学連合は命名の理由の中で、「独特の音楽と幅広い声域が特長」とし「史上最も偉大なロック歌手の一人」と称賛している
▼確かに彼の音楽にはどこか品格や気高さが漂い、歌のうまさもピカイチだった。〝七色の声〟で歌い、声域は4オクターブに及ぶとも言われた。エイズにより45歳で惜しまれつつこの世を去ったが、その影響力はいまだ計り知れない
▼小惑星は、火星と木星軌道の間にある小惑星が無数に集まっている領域にある。直径3・5㎞ほどで太陽光を約3割しか反射せず、地上から観測するには、かなり性能の高い望遠鏡を使う必要があるという
▼クイーンのヒット曲「ドント・ストップ・ミー・ナウ」(Don't Stop Me Now)に「俺は夜空を駆け抜ける流れ星」という一説がある。それがますます本当のことになったとの思いが深い。たとえ空を飛びまわるフレディ・マーキュリーではなくても、彼は間違いなく空にいる。そんな実感を抱かせる今回の命名劇
だった。

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