コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2013/07/29

ニッパチ

▼先日発表された政府の月例経済報告は、景気の基調判断を3か月連続で上方修正するなど、景気の「回復」が強調された。とはいえ、大多数の人には回復の実感からまだ遠い。いずれ確かにやってくるものなら、首を長くして待ちもしようが
▼参院選は自民党圧勝に終わったが、暑い夏はまだまだこれから。夏休みを心底謳歌できるのは、子どもや学生たちといってもよく、巷間「ニッパチ」といって、商いが振るわないとされる2月と8月のうちの後者に、暦(こよみ)はまもなく突入する。せめて今年は、いままでとは少し違うと思わせてもらいたいものだ
▼業種や年によって差はあるにせよ、この「ニッパチ」は多くの業種に当てはまるらしい。建築の場合、正月明け早々の2月や先祖が帰る8月に家を建てる人が少なく、小売りの場合は、2月は寒さ、8月は熱さで客足が遠のくためなどと言われる。2月に限れば、年末からのクリスマスや忘年会、新年会、実家への帰省などのイベントで出費がかさみ、その反動とも無関係ではないだろう
▼しかし何と言っても、2月は(閏年を除いて)28日しかなく、8月はお盆休みや夏休みがあって、とくに法人相手の商売では稼働日が少なく、当然のことながら売り上げ確保が難しくなる。景気が上向いたところで、暦や季節の巡り合わせはいかんともしがたい
▼翻ってみれば、長引くデフレ状態の経済情勢によって、もう何年も1年じゅう「ニッパチ」だ、などという皮肉の声も聞こえる。つまりは、10年単位の長いスパンで見れば、今の日本は長らく2月あるいは8月の状態にあるというのだ。だとすれば、そこからいつ抜け出せるのか、いささかうんざりさせられる
▼はたまた最近では「ニッパチ」はまったく別の意味もあり、2割の金持ちが全体の8割の資本を持つ、あるいは2割の有能な社員の売上げが全売上げの8割を占める「二八の法則」をさすのだとか。ひがみっぽい物言いをお許しいただければ、この世はすべて皮肉で成り立っているようにも見える。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ