コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2023/02/24

遠い東京一極是正

▼2022年の人口移動報告で、東京への人の移動が活発化したことが明らかになり、新型コロナの落ち着きにより東京一極集中の傾向が再び強まった。東京一極是正への道のりはそう簡単ではなさそうだ
▼東京都では転入者が転出者を上回る「転入超過」が3万8023人となり、3年ぶりに超過幅が拡大。東京23区も2年ぶりに転入超過となった。転勤や引っ越しの動きが活発化し、東京への人の流れが戻ったとみられる
▼東京都の転入は43万9787人、転出は40万1764人で、過去最少だった21年の5433人と比べ約7倍の転入超過。東京23区も2万1420人の転入超過となり、21年は14年以降で初めて1万4828人の転出超過だったが、1年で元の動きに戻った
▼東京都からの転出先は、千葉、埼玉、神奈川の近隣3県が約56%を占めた。東京圏(1都3県)では9万9519人の転入超過で、21年より1万7820人増加した
▼コロナを理由に地方へ向かった人の流れは一時的で、東京圏への流入は中長期的に続くと予想される。東京圏への転入超過は20~24歳が最も多く、若年層が育った地域で働ける雇用の場を確保することも重要だ
▼千葉県に限ると、県内に転入した人は、県外に転出した人を8568人上回り、全国4位の転入超過。一方、転出者数は前年比1万1680人増の15万5193人で、増加数は全国最多。コロナ禍で県内にとどまっていた技能実習生ら外国人が、経済の再活性化で他県へ移動したことが背景にあるとみられる
▼千葉はここ数年、転入超過数が増加傾向にあったが、22年は転出者が大幅に増え、3年ぶりに減少した。県内54市町村のうち、転入超過は22市町村。市町村別の転入超過数では、千葉、船橋、流山、柏の4市が全国20位以内に入った
▼千葉市の超過数は3519人で、前年から順位を二つ下げ全国8番目だが、全国の政令指定都市の中では転入者数が最も減少しており、気になるところだ。移住者への支援強化などの取り組みがさらに望まれる。

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