コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2022/12/08

課題山積の世界人口増加

▼世界の総人口が80億人を超えた。少子化にあえぐ日本からすれば複雑な思いもよぎるが、それだけ、増加している国が一部地域に偏っていることを物語る。適正な人口規模の維持は各国共通の課題とはいえ、達成は並大抵のことではない
▼国連によると、世界人口の増加は急激で、この11年間で10億人増えた。2030年には85億人、37年頃には90億人、58年頃には100億人を突破する見通しだという
▼人口増加の主な要因としては、死亡率の低下と平均寿命の延びが挙げられる。7月1日現在で最も人口が多いのは中国の14億2588万人だが、来年には2位のインド(14億1717万人)が首位に立つ見込みという。3位以下は、米国3億3829万人、インドネシア2億7550万人、パキスタン2億3582万人と続くが、やはり中国とインドが突出し、この2か国で実に全体の35%を占める
▼この12年間でみると、アジアとアフリカが増加分の約9割に及ぶ。今後増加する半数以上がインドやエジプト、エチオピア、フィリピンなどの8か国に集中するという
▼このまま人口が増え続けると、生産や消費の拡大でより多くの資源が必要となり、温室効果ガスの排出量が急増。気温上昇による異常気象や食糧不足にも見舞われる。とてもではないが持続可能な地球環境の実現など夢物語と言わざるを得ない
▼その一方で主要先進国は、出生数が減り、少子高齢化に直面している。特に日本は約10年前から人口減が急速に進み、若い世代が結婚や出産を控える傾向にある。国は、将来に希望を抱ける政策を早急に進めなければならない
▼人口増加が見込まれる国の大半は低所得国で、今後ますます飢餓が増えると予想される。すでにアフリカは、気候変動による干ばつに加え、ロシアのウクライナ侵略による穀物価格の急騰に直面している。アフリカ諸国を中心に約8億2800万人が飢餓状態にあるとの推計もある。先進国が低所得国に対して技術協力や資金援助する必要性が一段と高まることは間違いない。

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