コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2020/02/04

実感する大量消費社会

▼終活の一環などと言えば、周囲から「まだ早いでしょ」と笑われるし、断捨離と言うには、いささか覚悟に欠ける気がする。いかにも身の回りのものが増えすぎてしまったので、少し整理することに決め、売りに出したりし始めた
▼読み終わった本や昔集めた切手・古銭、ほとんど聴くこともなくなったCDやオーディオなどなど。購入当時の価格からすれば、買取額はほとんど二束三文でしかないが、買取量販店の店員さんからは、値のつかないものでも被災地や貧しい人たちへ寄付するので社会貢献の意味もあると言われ、それならばと納得もする
▼それにしても買取量販店などに出向いて驚かされるのは、あふれんばかりの商品の量だ。今の日本がいかに豊かで、商品が過剰にあふれているかが一目瞭然だ。社会貢献の一助と言われても、自分が積み重ねてきた消費もまた、多量のごみを発生させ、自らの安心・安全をおろそかにしてきたことは火を見るより明らかだ
▼大量消費とは、頻繁に製品を買い替えるなどの形で、数多くの商品の購入や廃棄を繰り返す形態を言う。企業は大規模な設備投資を行うことで生産コストを下げ、市場へより安価な製品を投入できるようになる。一方で、大量の商品が市場にあふれて価格競争が激しくなると、単価当たりの利益が減少するため、企業は大量の製品を続けて生産しなければ経営が維持できなくなる
▼その過程で企業はより製品が売れるようにするため、頻繁にモデルチェンジをしたり利便性やデザイン性を重視した製品を作ったりする。その結果、製品が壊れたり古くなっても修理するより買い替えた方が安価に済むような価格設定がなされ、消費者側もものを大切にして長く使う意識が薄れていく
▼こうした大量消費は日本では昭和30年代から行われるようになり、基本的な経済構造は今も変わらない。名ばかりの社会貢献では、地球全体の環境を脅かす結果にもなりかねない。自分が手放した品々を顧みて、何とも複雑な気持ちで店を後にした。

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