2016/06/21
地震予測地図を防災の糧に
▼間違ってもありがたい数字とは言い難い。今後30年以内に震度6弱以上の地震発生確率を示す「全国地震動予測地図」の最新版で、千葉市が47都道府県庁所在地で最も高い確率の85%(前回14年版と同率)となった。この数値を緊張感をもってとらえ、地震発生時の被害抑制につなげたい
▼地図での都道府県庁所在地とは、主な都市の中心部となる市庁舎周辺を指す。千葉市の確率が高くなったのは、相模湾から房総半島沖に延びる相模トラフで想定される大地震を反映したためだ。市役所のある場所が埋め立て地で地盤が軟らかいことも影響したという。いずれにせよ、85%という高い確率に危機感を覚えずにはいられない
▼地図では3%以上を「高い確率」と位置付けており、千葉のみならず首都圏は、横浜と水戸が81・0%、さいたまが55・0%、東京47・0%と総じて高い数値が示された。身近なリスクにたとえれば、交通事故で死亡する確率が0・2%、火事に遭う確率が1・9%というから、それらの数値がいかに高い確率かがわかる
▼その一方で、低い確率の地域でも決して油断はできない。熊本市の場合、4月に起きた熊本地震の影響が反映されていないとはいえ、前回比0・2%減の7・6%だった。言い換えれば、地震列島の日本で「確率ゼロ」の場所はないと考えるべきで、低い確率の地域でも大地震が起きることは十分ありうる。すべての地域で地震に備えた対策と行動が不可欠といえる
▼くしくも千葉市では市役所庁舎の建て替え計画が進められている。1970年完成の本庁舎はIs値が0・5と防災拠点に求められる0・9を大幅に下回り、東日本大震災では壁に亀裂が入るなどした。建て替えにあたっては、地震発生時を想定した万全の対策を講じてほしい
▼千葉市に限らず、本県内では東京湾沿いに埋め立て地が多く、揺れが大きくなりやすい地域があるとみられる。今回の地図に示された高い発生確率を踏まえて、最大震度6強を想定した十分な備えが早急に求められる。