コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2013/04/02

心機一転のリスタート

▼歌舞伎の殿堂として120年以上の歴史を持つ歌舞伎座が、3年近くに及ぶ建て替え工事を終えて、4月2日に開場する。1889年の開場から数えて5期目にあたる今回の施設は、オフィスビル「歌舞伎タワー」が併設され、伝統と最先端技術が同居する。古き良き時代を感じさせながら流行の先端をいく銀座のランドマークとして、さらに親しまれるものになった気がする
▼そんな歌舞伎座も、これまで火災や戦火に遭うなど様々な変遷を経てきた。初代の歌舞伎座は文明開化の世に完成し、洋風の外観だった。1911年に純和風の建物に建て替えられたが、漏電によりわずか10年で焼失。1925年には関東大震災から復興した東京の新名所となったが、45年の東京大空襲で全焼し、49年には復興工事が行われた
▼2010年に休館した4期目の建物は、大正時代の建物を改修したもので、空襲で焼け残った骨組みを使っていたため老朽化が進み、耐震性の問題や段差解消の必要性なども指摘され、全面的な建て替えが行われた
▼劇場という柱のない空間の上に超高層ビルを載せる構造として、劇場の端と端をつなぐ巨大な梁「メガトラス」を3列かける特殊な工法が採用された。工事には1日最大1700人が参加し、無事故を果たしたという
▼話は変わって、いささか手前味噌めくが、新たな歌舞伎座の開場と時を同じくして、奇しくも弊紙が新たに大判(ブランケット判)として生まれ変わった。読者の皆様がいま手にされている紙面はそのリニューアル第1号である。ずいぶん立派になったと自負しつつ、その体裁に負けない内容の充実を肝に銘じるリスタートである
▼タブロイド判からブランケット判へ――。約20年ぶりのリニューアルがかなったのは、何よりも多くの読者のおかげである。この情報化社会のただなかにあって、微力ながら、専門紙としての役割はどういうものかを問い直し、知恵を絞って精進していくほかはない。ここは新たに開場する歌舞伎座にあやかり、さらなる伝統と歴史を重ねつつ、様々なチャレンジにも努めていきたい。

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