コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/08/22

五輪閉会式で見えたロックの力

▼残暑というにはまだまだ厳しい暑さが続いているが、それでもロンドン五輪の閉会とともに、少しばかりの寂しさと心地よい疲労を感じる夏となった。スポーツの祭典に水を差す出来事もあったが、何はともあれ、大会は大きな混乱もなく成功に終わった
▼マラソン競技などで見るロンドンの街並みは、歴史を感じさせる美しく重厚なものだったが、現実のロンドンはとうの昔に経済成長を終え、娯楽であふれる、成熟した都市でもある。その意味で、英国の才能が生んだ名曲をふんだんに盛り込んだ五輪閉会式は、まさに英国の“いま”を象徴するものだった
▼「ブリティッシュ・ミュージックのシンフォニー」と題された壮大な音楽の祭典。現在の英国が世界に最も誇れるものが、おそらくロック音楽なのだ。個人的にも若いころからブリティッシュ・ロックに魅了されてきた筆者にとっては、感慨ひとしおだった
▼元ビートルズの故ジョン・レノンが「イマジン」を歌う映像とともに「世界はいつか一つになる」などの歌詞が、各国語でかわるがわる大型スクリーンに流れる趣向で、平和をアピール。さらにクイーンの名曲「ウィ・ウィル・ロック・ユー」の大合唱で最高潮に。そして大トリは大御所ロックバンド、ザ・フーが圧倒的なステージを繰り広げた
▼祭典の最後は、音楽で英国の底力が示された。現実の世界を見れば、理想とはかけ離れていると言わざるを得ないが、たとえかりそめでも、世界が一つになれたと思える瞬間は貴重だ。これもまた、人を引きつける五輪の魔力というほかはない。

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