コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/04/03

2012年4月3日

▼先日発表された今年1月1日現在の地価公示を見て、東日本大震災の影響がかくも大きいものかと痛感した。被災地では海に近い地域が大きく地価を下げ、高台が最大6割上がるなど高騰。全国的にも「西高東低」の傾向が顕著に出た
▼とりわけ被災地では高台などへの移住が本格化するため、地価の動向が被災者の暮らしや復興に深くかかわる。被災者が移転先の土地を買ったり借りたり、あるいは住宅を建てる場合にも、被災した元の土地の買い上げによる収入が頼みの綱となる。被災地一帯の地価が極端に下がらぬよう、被災者を支える視点が重要になる
▼震災の影響は、本県の地価公示にも色濃くにじむ結果となった。液状化した浦安市では下落率が前年比で平均マイナス7%と大きく、放射線の高いホットスポットが点在する東葛地域の下落も目立った。浦安市高洲ではマイナス15.3%と県内で最も下げ幅が大きく、下落率のワースト10はすべて浦安市の埋め立て地が占めた。同じく液状化被害の大きかった千葉市美浜区でも、調査地点の埋め立て地でほぼ一律に下落した
▼下落幅の大きかった湾岸部や東葛地域はもともと人気の高い住宅地で、先行きの見通しも様々だ。前向きに考えると、地価が安くなれば、建物は安価ででき、安ければ買う層も広がる。また、震災に強い街のイメージづくりができれば、人気も回復するとの見方が強い。いずれにしても、液状化対策や放射線問題の解決が前提で、これらを先送りにすれば、開発自体に支障が生じ、人気低迷も致命的なものになりかねない。

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