コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/04/10

震災の影響色濃い「地価公示」

▼ 県がまとめた「東日本大震災に関わる県内企業影響実態調査」によれば、震災による直接被害があった企業は35%に及び、震災被害の大きさが改めて浮き彫りになった。約8割の被災企業は震災後1年以内に復旧の見込みが立ったが、1割近くは「復旧の見通しが立っていない」と回答している
▼ そうしたなか、不幸中の幸いといっていいのか、震災による収益の減少では、建設業が32・9%と全業種中最も低く、「収益への影響がなかった」とする企業も67・1%で最多だった
▼ 「受注の減少」も金属製品に次いで2番目に低いが、復旧・復興工事が優先され一般工事が先送りされたことによる受注減少などのマイナス面も出た。民間工事では、消費者の住宅購入意欲の低下で一般住宅の受注が減少したとの声もあった
▼ プラスの影響に目を転じれば、小中学校の耐震化工事の前倒し発注や災害対策における測量・設計調査の増加など“復興特需”といえるものが目立った。また、被災建物・設備の解体撤去や廃棄物処分、地中空洞状態確認調査や放射線除去といった復旧・復興需要も増加した
▼ 一方で気になったのは、建設業界内の格差が広がることを憂える声だ。ある建設業者は「復興需要を享受できる業者と、低迷を深める業者が入り乱れ、実態とは異なる見せかけの好況が続く」と予測している。復興需要に伴い、勝ち組と負け組がはっきりするようでは“見せかけの好況”との指摘も決して大げさではない。復興需要も努めて冷静に受け止めなければ、その後の業界の恒常的な安定にはつながらない。

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