コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2014/03/04

重要性増す著作権法

▼報道に携わる者にとって、著作権の知識は言うまでもなく必要不可欠だ。日ごろ心して報道にあたっているつもりでも、著作権法上のグレーゾーンに行き当たるケースは少なくない。このほど開かれた日本専門新聞協会主催の第2回「改正著作権法セミナー」を聴講し、より細心の注意を払って報道すべきことを再認識した
▼セミナーでは弁護士の中川達也氏を講師に招き、2012年6月に改正された著作権法のポイントなどを解説。今回の改正では、「写り込み」等を包括的に許容する付随対象著作物の利用(著作権法30条の2)が新設された。写真やビデオ撮影の際、本来意図した撮影対象だけでなく、看板やポスター等に描かれた絵画や音楽などがたまたま写(映)り込んだ場合などが許容されうる規定である
▼許容の要件は大きく三つあり、一つは、写り込んでしまう著作物を撮影対象から分離することが一般的な社会通念上難しく、付随した対象であること。たとえば、キャラクターのTシャツを着ている人へのインタビュー撮影の場合、それを脱いでもらう必要はないということになる
▼二つ目は、写り込んでしまう著作物が、自身の映像(音声)等のうち軽微な構成部分にとどまること。ただし軽微かどうかの判断は、写り込んでいる面積や時間、受け手が受ける印象などを総合的に考慮して、ケースバイケースで考えざるを得ないとする。三つ目は、写り込んだ著作権者の利益を不当に害してはならないことで、経済的な価値の高い著作物が写り込んだり、市場で流通している商品に代替できてしまうケースなどは要注意とされる
▼要するに、意図的なものでなければ許容範囲はかなり広いと言えるが、まったく意図しなくても、相手次第で意図的と判断される場合もありそうだ。法律の改正で明確化されたとはいえ、現実にはやはりケースバイケースとなるグレーソーンが存在すると考えざるを得ない。知れば知るほど難しいというのが率直な感想。それゆえ襟を正さねばならないとの思いも強まった。

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