コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2013/11/19

食品偽装表示

▼全国各地のホテルや百貨店で相次ぐ食材の偽装には、開いた口がふさがらない。口に入れるものをだますというのは犯罪に等しく、「表示を誤った」「偽装の認識はなかった」などと弁解する経営陣にはモラルのかけらも感じられない
▼たとえば、バナメイエビやブラックタイガーを芝エビや車エビと表記して同じ料金をとるとなれば、消費者を軽んじているとしか思えない。1億総グルメ時代と言われて久しいが、そうした風潮につけこんだあざとい手口と言いたくなる。見せかけは立派だが実物は違う――〝羊頭狗肉〟とは、まさにこういうことを言うのではないか
▼確かにいつ頃からか、レストランなどへ行けば、必ずといっていいほど産地名や生産者名、ブランド名を冠した食材がメニューに並ぶようになった。ただのタイやヒラメ、豚肉や牛肉では消費者も納得しなくなり、それによって付加価値が生まれ、消費者も恩恵を被るのなら、むしろ喜ばしく、何の問題もない
▼一例をあげれば、スペインのイベリコ豚も、豚肉では高い料金を取れない業界が、牛肉などに匹敵する食材として、輸入解禁された2004年ごろから売り出したと言われる。今ではずいぶん普及し、さして珍しい食材でもなくなった。ただしイベリコ豚にも様々あり、ベジョータ、レセボ、セボ・デ・カンポ、デ・セボという格付けが存在する。ちなみに最上位のベジョータは「放牧期間前と比較して50%以上の体重増があり、肉質がベジョータの基準をクリアしたもの」、最下位のゼボは「穀物飼料だけで肥育されたもの」とされる。しかし、この格付けまで明記しているケースは限られ、このほかに純血種と混血種の区分けもあるそうだ
▼要は、われわれ消費者が賢くあらねばならない。舌を肥やし、神経を研ぎ澄まして……。そうはいっても、本当なら食べ物くらい、小難しいことを抜きにおいしいものはおいしく、しかも安心して味わいたいものだ。その意味からも、今回の偽装表示は消費者への大いなる背信行為と言わざるを得ない。

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