コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2013/10/21

五輪経済効果

▼2020年東京五輪の経済効果はどれほどか―。さまざまな試算が出ており、その規模にもずいぶん開きがあるようだ。いずれにせよ、大がかりな準備とインフラ整備が不可欠で、それらが長期にわたって経済を下支えすることは間違いない。心配なのは、五輪開催による財政赤字の肥大化と五輪後の景気の下振れだろうか
▼東京都の試算では五輪の経済効果を20年までで3兆円としているが、民間からは最大150兆円規模との驚くべき数字も出ている。民間のあるシンクタンクは今後7年間で7~12兆円の景気浮揚効果があり、40~70万人の雇用創出効果が見込まれるとするなど、東京都を大きく上回る試算が目立つ。経済効果のとらえ方によってその規模に大きな差が出るのは当然で、あまりに巨額の試算は期待含みくらいに考えておいてほうが無難かもしれない
▼五輪前後の景気変動は各国共通していて、東京五輪でもある程度は避けられまい。ただし、この景気変動は開催国の経済規模や成熟度で度合いが異なり、経済規模が大きく経済が成熟している国だと、変動も小さく短くて済むと言われる。日本の場合はまさにこのケースだろうが、その分、経済効果が大きく出にくいとも考えられる。この法則からすれば、景気の上振れ・下振れも、成長途上にあった64年の東京五輪とは比べようもないと考えたほうがいい
▼20年の東京五輪は晴海の選手村を中心とした8㎞圏内の臨海部で多くの競技が行われるが、むろん千葉県とも無関係ではあり得ない。本県はこの8㎞圏とは臨海部で近接しているのみならず、40㎞圏まで広げれば、木更津や東京湾アクアラインなどもエリア内となる。空の表玄関・成田空港を擁することは言うまでもない
▼千葉市や浦安市、空港周辺などは県内でも宿泊者数のシェアが高く、外国客を受け入れる体制も整っている。こうした立地を生かして、北千葉道路や圏央道などのインフラ整備を急ピッチで進め、便利な宿泊場所や練習場所の提供などでも幅広い貢献ができるに違いない。

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