コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2018/08/07

左利きの言い訳

▼筆者は左利きだが、不便を感じたことはさしてない。世の中がおおむね右仕様で成り立っているのは確かだが、日常で多少の不便を感じるとしたら、刃物類の使いにくさだったり、食事のとき隣の人と肘が当たってしまったりと、その程度だ。「ぎっちょ」などと揶揄されるのが不快だったが、それも最近では少なくなった
▼日本語においても「右」が「左」より優位かと言えば、必ずしもそうではなさそうだ。確かに「右に出る者がない」「右腕(みぎうで)」など右が付く言葉にはプラスイメージがあり、左には「左遷」「左前」などマイナスイメージも強い。ただし、これも時代によって変化してきた
▼左大臣は右大臣より格上だし、舞台では左側を上手、右側を下手と呼ぶ。床の間を背負えば通常、左手が上座、右手が下座となる。日本では言葉は右、しきたりでは左優先の傾向がみられる
▼西洋では「右上位」が一般的らしく、英語の右(right)は「正しい」という意味で、ラテン語の左(sinister)には「不吉な」という意味もある。儀式でも「右上位」で、開催国が相手国を右側に配置し、格上扱いするのが外交上の礼儀とされる
▼「左利き」に話を戻せば、一般的に右手より左手が器用で、多くの動作に左手を使うのは、当然の話だろう。筆者は幼いころ書くことを右に直されたため、字を書きながら同時に左手で消しゴムを使ったりできたが、パソコンやスマホ全盛の時代ではそんな芸当もたいして役には立たない。かつてたしなんだギターも最初から通常仕様で始めたため、左利き用も必要なかった
▼左利きが発生する要因には諸説あり、これと断定できるものはないようだ。現在では強制的な矯正が子どもにとってストレスになり、心理的な悪影響を及ぼすことも知られている
▼この歳になって誰を恨むつもりもないけれど、ギターが上手くならなかったのも、悪筆のまま現在に至っているのも、生来の利き手を使わなかったせいだと都合よく解釈してみたりする。

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