コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2018/04/17

大丈夫?ランドセルの重さ

▼多くの小学校で入学式が開かれた先週初めは、街のあちこちで「ランドセルが歩いているような」子どもの姿を目にした。何ともほほえましい光景だが、あの小さな体でランドセルはさぞかし重かろうと、体への負担も気になる
▼ある調べでは、近ごろの小学生が背負うランドセルの重さは、1年生でも教科書4冊にノート、ドリル、プリント類を合わせると5㎏程度になるという。体重20㎏余りの子どもにはかなりの負担と言わざるを得ない
▼様々な要因でランドセルの総重量化は進んでいる。「ゆとり教育」時代だった2005年度には、全教科の教科書のページ数(1~6年合計、各社平均)は4857㌻だったが、「脱ゆとり教育」を反映した学習指導要領実施後の15年度には6518㌻と、10年前に比べ34%も増加。18年度からは道徳も教科に加わり、さらに1067㌻分が増える
▼ランドセル自体の大型化も進み、ここ数年は、A4用紙をとじるファイルが入る「A4フラットファイル対応」をうたうランドセルが増えているそうだ
▼日本でランドセルが初めて使われたのは学習院初等学科で、1887(明治20)年に伊藤博文が、軍隊用背嚢(ランドセル)をベースにした箱形通学かばんを後の大正天皇の入学祝いとして献上したのが始まりとされる。戦前は高級品だったため、一般に広まったのは戦後という
▼メーカーも背板を軽くするなどの工夫を続けている。ただ、技術的に軽くするのは可能だが、耐久性を考えれば、これ以上革を薄くするのは難しいそうだ。低学年のうちは教科書を学校に置いて、ナイロン製のショルダーバッグで通学している学校もあり、今後はそうした柔軟な対応も必要だろう。将来的には、デジタル教科書の使用による軽量化にも期待したい
▼重そうなランドセルでも、それを背負う子どもの姿には、親でなくても心が和む。いじめや体罰、虐待など「子ども受難」のニュースが続くなか、ピカピカの一年生を見るにつけ、健やかな成長を願わずにはいられない。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ