コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2017/10/24

ティラミス発祥地論争

▼デザート、広い意味でのスイーツにも流行があるようだ。ブームとなって現れては消えるものもあれば、定着して長く残るものもある。一過性のブームにとどまらず根強い人気を持つスイーツがある一方で、その名前にはや懐かしささえ覚えるものもある
▼最初にスイーツブームを予感させた存在と言えば、1970年代後半のクレープあたりだろう。その後、90年代にはティラミス、クレームブリュレ、タピオカ、ナタデココ、パンナコッタ、カヌレ、ベルギーワッフル、クイニーアマンと、毎年のように次々と新しいスイーツが登場した。流行の回転の速さも、その浮沈とともに目まぐるしく感じられたものだ
▼そんな中で、90年代前半のバブル期に火がついた「ティラミス」は今でも根強い人気を誇る。マスカルポーネチーズを使ったイタリアを代表するスイーツで、レストランや喫茶店のメニューに載り、ケーキショップの店頭でもよく見かける
▼そんなティラミスの発祥地を巡り、本国イタリアで論争が過熱しているという。これまでベネチアがある北部ベネト州か、隣接するフリウリ・ベネチア・ジュリア州かで見解が分かれていたが、農林政策省がフリウリ州と断定した。しかし、ベネト州は決定の撤回を求めて、訴訟も辞さない構えを見せている
▼ティラミスは、1970年にベネト州にあるレストラン「ベッケリエ」で初めて提供されたとの説がある一方で、50年代にティラミスに似た菓子がフリウリ州で誕生したとする文献も残っている。今回の論争は、ティラミスという有名スイーツを愛するがゆえのプライドの争いとも言えるだろう
▼ちなみにティラミスとは、イタリア語で「ティーラ(引っ張る)」「ミ(私)」「スー(上へ)」からなり、つまりは「私を引っ張り上げる=元気になる」という語源を持つ。名前からしてこれほど上昇志向なのだから、世界的な定番スイーツとしてさらに多くの人々の舌を楽しませるためにも、今回の発祥地論争を一日も早く決着させてもらいたい。

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