コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2017/08/01

平均寿命の都道府県格差

▼日本人の平均寿命の延びに都道府県間で差が生じているという興味深い調査結果が、先日の新聞で報じられていた。最近25年間で最大1・6年の差が出ていることがわかったが、その原因は判明しなかった。今後の健康施策を進めるうえでも、こうした健康格差の原因究明が重要になりそうだ
▼調査は東京大学や米ワシントン大などのグループの研究によるもので、日本人全体の平均寿命は2015年で83・2歳となり、1990年の79・0歳から4・2年延びた。都道府県ごとにみると、佐賀と滋賀が4・8年と最も延び、逆に沖縄が3・2年、山形が3・3年にとどまった。最も平均寿命が長い県と短い県の差も、90年の2・5年から15年には3・1年に拡大していた
▼千葉県は90年の平均寿命が79・2歳だったが、15年には83・1歳となり、この25年間で3・9年延びた。この延びは全国38位で、下から10番目に位置し、あまり高いほうとは言えない
▼一方、厚生労働省がこのほど発表した16年の日本人の平均寿命は、男性が80・98歳、女性が87・14歳で、過去最高を更新。女性は2年連続で世界2位、男性は前年の4位から2位に上がった
▼90~16年の26年間で男性が5・06歳、女性が5・24歳延び、女性の方が寿命だけでなく延び率も大きい。明治時代に始まった第1回目の調査(明治24~31年)では男性42・8歳、女性44・3歳だったから、この1世紀余りで平均寿命が倍近く延びたことになる。内閣府の将来推計によれば、平均寿命は今後も延びると予想され、60年には男性が84・19歳、女性が90・93歳に達するという
▼なぜ女性の方が長生きなのかについては、性差による体の機能の違いだけでなく、健康リテラシーの差も関係しているといわれる。都道府県間の差では、1人あたりの医療費や人口あたりの医師数などに明確な関連性が見られなかったことから、単に医師を増やせばいいということだけでもないようだ。健康格差の要因を探ることも、今後の重要な研究テーマと言える。

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