コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2017/05/02

人口減少と地域間格差

▼東京一極集中の是正が人口格差問題のメインテーマに掲げられて久しいが、問題解決の道のりは遠いと言わざるを得ない。総務省が発表した日本の人口推計(2016年10月時点集計)で、東京都を含む首都圏での人口集中が改めて鮮明になった
▼東京都の前年からの人口増加率は0・80%となり、伸び率では前年比で0・07ポイント下がったものの、人口が増加した割合は依然として最も高かった。首都圏は埼玉県0・32%増、千葉県0・21%増、神奈川県0・2%増といずれも増加している
▼今回の調査で人口が増えた自治体は、首都圏に沖縄、愛知、福岡を加えた7都県に限られ、残る40道府県は人口減少の波にのみ込まれた形だ
▼都市と地方の格差の拡大だけでなく、新たな焦点として、大都市間でも「勝ち組」と「負け組」に格差がつき始めている実態が浮き彫りになった。大阪府など関西圏はおしなべて減少傾向に歯止めがかからず、大阪府はとくに15年には前年比0・06%減だったが、16年に同0・08%減となり、減り幅が拡大している
▼一方で65歳以上の高齢者は前年比72万3000人増の3459万1000人となり、総人口に占める割合は27・3%に及ぶ。とくに首都圏での高齢化が急速に進み、75歳以上の人口増加率は、埼玉県が6・4%で全国トップ。千葉県(5・9%)、神奈川県(5・3%)、東京都(4・1%)と軒並み全国平均(3・6%)を上回る。「勝ち組」にも大きな死角があると言える
▼国立社会保障・人口問題研究所が公表した新たな将来推計によれば、日本の総人口は15年の1億2709万人から65年には8808万人まで減少する。総人口が1億人を超えた1968年頃には将来再び1億人を切ると考える人は少なかった気がするが、それだけ未来を見通すのが難しい証しでもある
▼ただ人口推計はあくまで予測に過ぎず、今後の努力次第では未来を変えることも不可能ではない。人口格差の是正とともに、少子化克服などの対策を加速させることが重要だ。

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