コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2017/04/11

「WELQ」問題に見る著作権侵害

▼IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)のキュレーション(まとめ)サイトに不正確な内容があったとして、同社の企業体質を第三者委員会が厳しく批判した。正確性より利益を優先したとして、メディアとしての責任を強く求めた。インターネット上には誤った情報が拡散し、著作権侵害に加担しかねないサービスが多数存在することを考えれば、こうした問題は今後、次々と顕在化していくことが予想される
▼第三者委員会の報告書によれば、医療系サイト「WELQ」など10サイトに掲載された37万6671件の記事から400件のサンプルを抽出して調べ、1・9~5・6%の記事に著作権侵害の可能性があると推定した
▼著作権法に詳しい中川達也弁護士によれば、「これまでネット上の著作権侵害は、どちらかというと著作権者側に厳しい世論が多かったが、今回のケースをきっかけに、キュレーションサイトなどにおける著作権侵害の横行に厳しい目が向けられるのではないか」と指摘。その理由の一つとして、被害者(権利者)が社会的に弱い立場にある個人であることを挙げた
▼中川氏は、ユーザーが投稿した記事に著作権侵害があった場合の運営者責任として「プロバイダ責任制限法」の存在を挙げ、原則として「サービス運営者は記事が投稿されただけではすぐに責任を問われないが、利用者(読み手等)から著作権侵害の指摘を受けた場合には対応が求められる」と説明した▼運営者がライターなどに「パクり」を指示して執筆された記事については、「アイデアは保護されず、表現だけが保護される」との原則から、アイデアを理解して別の表現で書くことは著作権侵害に当たらないとした
▼ただ「WELQ」問題にみられるように、最近の著作権に対する意識の高まりを考えると、今後はユーザーや運営者により厳しい目が向けられるのは必至で、著作権法上の問題はなくても、世間一般の素朴な正義感・常識も加味して、より厳しいチェック体制を敷く必要があると指摘した。

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