コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2016/11/08

ハラスメントの予防と対策

▼ハラスメントという言葉を耳にする機会が増えた。その種類も主なもので20近くに及ぶという。セクハラやパワハラ、マタハラなどはよく知られるが、ほかにもアカハラ(アカデミック)、アルハラ(アルコール)、エイハラ(エイジ)、オワハラ(終われ)、カジハラ(家事)、カラハラ(カラオケ)、スモハラ(スモーク)など
▼ハラスメントの本来の意味は、人を悩ますこと、優越した地位や立場を利用したいやがらせ。今後もハラスメントの多様化は確実で、誰もが真剣にその予防と対策を考えなければならない
▼パワハラ一つとっても、職場での行為類型は①身体的な攻撃②精神的な攻撃③人間関係からの切り離し④過大・過小な要求⑤個の侵害など様々だ。日本専門新聞協会の顧問弁護士・秋山智昭氏によれば、①~③のパワハラ認定は比較的容易だが、④と⑤は業務上の適正な指導との線引きが難しいとする
▼パワハラの発生は、当該社員ばかりか会社全体の生産性低下にもつながる。パワハラ防止には何より事前の予防が不可欠で、もし起こった場合には、早期発見と迅速な対処が必要と説く。加害者(上司等)となりうる者への啓発や、被害者(問題社員等)となりうる者への対応を、日ごろから心がけたい
▼予防の具体策として同氏は、①就業規則での明確な規定②会社トップの方針の明確化と会社全体への周知③告発機会の確保(相談窓口等の設置)などを挙げる。パワハラが起これば、加害者の懲戒処分か、加害者と被害者が裁判で争うことが想定される。使用者は裁判では使用者は管理監督責任や職場環境保持義務違反を問われる。ただ採証が困難な場合が多く、賠償金額も比較的低額なので、示談や和解も費用対効果とタイミングで判断すべきと指摘する
▼紛争への準備としては書面や資料などを残すことが重要で、録音も有効な手段の一つだとする。信頼関係の築きにくい世の中というのもどこかさびしい気がするが、時代がそこまで来ていることを肝に命じるべきなのだろう。

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