コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2016/07/26

新幹線開業で高まる軽井沢人気

▼軽井沢という地名を聞くだけで、木立を抜ける涼やかな風を感じる人も多いだろう。それほど長野県・軽井沢は国内屈指の避暑地として名高い。その人気が昨年の北陸新幹線の開通でさらに高まっているという
▼これまでは主に首都圏からの別荘地を求める人や移住希望者が多かったが、最近では北陸方面の富裕層が土地を求めるケースも目立っているそうだ。国土交通省の地価公示(1月1日時点)でも、軽井沢の別荘地が長野県内の住宅地で最高地点となった。長野市以外が首位になったのは38年ぶりで、1位は旧軽井沢別荘地の8万5800円(1㎡当たり)。上昇率も県内1位、2位を軽井沢が占めた
▼もちろん、軽井沢のハイシーズンの賑わいは昨日今日に始まったことではない。約2万人の人口は夏の最盛期にはその10倍にも膨れ上がる。今年のゴールデンウイークも大変な人出だったが、一番の賑わいは夏本番のこれからだ
▼発展のきっかけをつくったのは、イギリスの宣教師アレキサンダー・ショー(1846~1886)とされる。ショーはさわやかなこの土地にほれ込み、別荘を建て、教会もつくった。旧軽井沢地区に残る「ショー記念礼拝堂」と、復元された彼の別荘は避暑地・軽井沢「発祥の地」といえる
▼軽井沢の地名は古く室町時代に遡るが、地名のいわれは諸説ある。火山が噴火して溶岩が冷えた「軽石」の堆積と浸食でできた土地だからという説や、水がかれた沢を意味する「かれ沢」が転じたというものもある
▼もともとは地元住民の多くは「かるいさわ」と呼んでいたが、外国人が発音しにくかったため「かるいざわ」に転じたともいわれる。これも、多くの外国人を魅了した土地ならではのエピソードと言えるだろう
▼軽井沢の地名は秋田、山形、新潟など東日本にも多く、千葉県にも鎌ケ谷市内に存在する。長野・軽井沢の町民憲章の冒頭には「世界に誇る清らかな環境と風俗を守りつづけましょう」とある。景観を重んじる精神は、多くの自治体が学ぶべきものだろう。

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