コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2016/04/20

聖火台問題を転機に

▼2020年東京五輪・パラリンピックも、開催に向けたこれまでの準備段階では何かと話題が多い。話題豊富なのは結構だが、どうもネガティブなものが目立つのが気にかかる。今度は聖火台の設置位置の検討漏れが浮上。にわかには信じがたい話だ
▼開幕までまだ4年以上あるこの時期に聖火台の検討を始めるのは異例とも言うが、問題は、新国立競技場の2案いずれにも聖火台の設置場所が盛り込まれていなかったことだ。公募の段階で業者に求めていなかったからで、工期の関係もあり、今月中に大まかな設置場所と点火場所を決めることになっている
▼聖火台の点火は開会式で最大の見所となる。サプライズ的な演出も求められ、点火方法は通常なら開会式まで明らかにされない。ならば、ここは逆転の発想で、設置場所の検討漏れの失態を返上し、驚くような見せ場づくりへと転換できないものだろうか
▼一般的には、聖火台は競技場内の観客すべてから見える場所に設置し、競技期間中にはスタジアムの外にいる人からも見えるのが理想とされる。ただしロンドン大会では場外からは見えないフィールドの端に置かれたように、厳密なルールがあるわけではない
▼2000年以降の大会の聖火をみると、シドニーでは、点火で水面下から大きな円盤が登場し、そこにともされた炎がスタンド上部へと運ばれた。アテネは、白い棒状の聖火台が競技場内に傾いてくる演出。北京は巻物をイメージした聖火台。ロンドンは、聖火が参加国・地域数の204の花弁に燃え移り、上空で一つの大きな炎となる趣向だった。日本国内の大会では1998年の長野が、かがり火をイメージした聖火台で、巫女姿の選手が点火する和風の演出がなされた
▼聖火台は五輪の象徴でもあり、大会を盛り上げるカギともなる。遠藤五輪相によれば、実際の演出の検討は開幕の2年半ほど前からになるという。ぜひポジティブな意味でのサプライズ演出で、これまでのドタバタを払しょくし、五輪全体の成功につなげたい。

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