コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2011/09/20

むなしさ募る八ツ場空白

▼この2年間はいったい何だったのか。大澤正明群馬県知事の発言ではないが、当然ながらむなしさが募る。民主党のマニフェストに翻弄されたのは、誰より地元住民の方々だろう
▼関東整備局が13日、八ツ場ダム(群馬県長野原町)の建設の是非を検証する関係1都5県知事との会合で「ダム建設が最も有利」との報告案を示した。知事らはこの報告案を歓迎し、国交省に早期の建設再開を求めている。前田国交相は「一切の予段を持たずに検証する」と述べているが、1都5県知事の意見を重く受け止めてほしい
▼そもそも、2年前のダム中止宣言はいかにも唐突で強引だった。当時の前原国交相が地元への説明も十分でないまま、就任後すぐに建設中止を命じたことで、地元には今も不信感や不快感が根強い
▼上田清司埼玉県知事が「特別な方法が発明されたわけではない」と述べているように、初めからダム案に代わる有力案があっての話ではなかった。まず建設中止ありきの感は否めない。今回の検討でも複数の代替案を含めて総合的に評価されたが、各項目でダム案を上回るものはなかった
▼2年の検証期間を費やしたことで、逆に事業費は増えたのではないか。多くの金と時間が無駄になったと言わざるを得ない。検証にかかった費用も当然国が負担すべきだろう
▼本県の森田健作知事も、震災による液状化で利根川下流の堤防などが不安定になっていることから、一刻も早い完成を求めている。これまでの遅れを取り戻すべく、早急な建設再開の決断が待たれる。

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