コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2011/10/17

学ぶべきジョブズ氏の功績

▼スティーブ・ジョブズの名は知れど、恥ずかしながら、そこまで偉大な人物とは知らなかった。いや、その訃報に接してようやく知ったというべきか。米アップル社のカリスマ創業者が56歳で亡くなった。これほど世界中からその死を惜しまれた企業経営者というのもあまり記憶がない
▼その生涯の歩みそのものが型破りだった。マッキントッシュの世界的なヒットにより、大企業のものだったコンピューターの世界を個人の手にもたらした。しかし85年に会社を追放され、10年余りを経て復帰した後には、iPhone、iPadなど新たなコンセプトを持つ製品を次々と送り出し、人々の生活に大きな変化をもたらした。ジョブズ氏が少なくとも世界を2度変えたといわれるゆえんである
▼その業績で特筆すべきは、製品作りにおける「こだわり」だった。経営者としては稀有の審美眼を発揮し、すぐれたデザインの製品を次々と世に送り出してきた。ジョブズ在籍時のアップル製品群は、写真を見るだけでも確かに美しい。技術革新が速すぎて、ものづくりへのこだわりと質の高さの両立が難しいIT産業にあって、その功績は大いにたたえられるべきだ。本来ものづくりを得意としながら収益悪化に苦しむ日本企業には、学ぶべき点も多々あろう
▼マックには立ち上げるときのワクワク感があり、iPhone、iPadのつややかな画面操作には独特の快感があるという。幸いなことに、おくての筆者にはそれらを“追体験”する楽しみが残されている。

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