コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2014/12/24

師走に想うゴジラ映画

▼師走のこの時期、年末に封切られる正月映画といえば、東宝の「ゴジラ」シリーズを思い出す。筆者も子どもが小さかった頃は、あわただしい師走の合間を縫って家族でゴジラを観に映画館へ足を運んだ記憶がある。そのゴジラ映画が2016年に復活するという
▼ゴジラ映画は1954年の第1作目を皮切りに、04年の「ゴジラ FINAL WARS」まで28作が製作された。その変遷は大きく3期に分かれ、第1期が昭和ゴジラシリーズ(15作)、第2期が平成ゴジラシリーズ(7作)、第3期がミレニアムシリーズ(6作)。各期の間に休止期間をはさみつつ、シリアスになったりコミカルになったり、ゴジラは時代や世相を映し出す鏡のようでもあった
▼98年と昨年(14年)にはハリウッド版のゴジラが公開されたが、正直、あれがゴジラかとの思いを抱いたのは、さて筆者だけだろうか。その爬虫類的な形状といい、俊敏すぎる動きといい、和製ゴジラとは根本的に何かが違う。生物を超えた「怪獣」が、ハリウッド版になると、突然変異による超巨大生物と化してしまう。どれほど和製ゴジラを愛した外国人監督がメガホンをとろうと、そこには埋めがたい溝がある。ゴジラは日本人の感性からしか生まれ得ないとの思いを深くする
▼16年に復活する29作目は、日本伝統の着ぐるみにするか、ハリウッド版のようにCGを使うか、未定とのこと。今の時代はCGか、いや、本家の好さを継承するには着ぐるみも捨てがたい、と興味は尽きない
▼建設中の「新宿東宝ビル」の屋上テラスには、「実物大」のゴジラ頭部が来春設置されるという。地上からの高さはゴジラの身長と同じ50m。歌舞伎町交差点に立つと、ビルの上からゴジラがぬっと顔を出して見える趣向だ
▼ゴジラは本来この50mサイズだったが、高層ビルが多くなるにつれ、設定も80m、100mと巨大化してきた。復活ゴジラはどうなのか。50mサイズでは、超高層ビルの林立する都心では肩身が狭かろうと、わが事のように心配になる。

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