コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/01/24

早まった人口減少時代

▼増加基調が続いてきた1都3県の東京圏で、本県が先陣を切って人口減少時代に突入する。県では2017年度まで人口が増えると予想していただけに、唐突感は否めない。本県のみならず圏域全体の人口減少が早まる可能性が高く、超高齢化時代の到来は予想以上の歩測で迫りつつある
▼7年前倒しの人口減少には、やはり東日本大震災の影響がつきまとう。県全体の人口増を引っ張った京葉地域や東葛飾地域では、液状化被害や放射線量の高い「ホットスポット」の存在により、県外からの入りこみ人口が激減した。加えて長期的な人口構造の変化もあり、高齢化に伴い増えつつあった死亡者数が昨年10月時点で出生数を逆転した
▼県内の高齢化は全国2位の早さで進む一方、特別養護老人ホームの整備率は全国最下位。10万人あたりの医師や看護師の数もワースト3位という。高齢化が進めば、現役世代の負担は増えるばかりで、その暮らしはますます厳しくなる。しかも現役が減れば、税収も減り、高齢化で増えるコストが賄えなくなる。小さなパイの配分など、課題は山積みだ
▼もちろんメリットもなくはない。満員電車や道路渋滞の軽減、少人数教育も可能になるかもしれない。しかし、現段階でメリットとデメリットを天秤にかければ、後者の比重が大きいと言わざるを得ない
▼船橋、柏、流山など都市部では今後も大規模な住宅開発が計画されており、こうした開発の歩みをとめることは何としても避けたい。そのためにも、震災復旧や除染作業により一刻も早く不安を取り除く必要がある。

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